64 名前：秋刀魚 ◆jvNuPGUm/s [sage] 投稿日：2007/02/02(金) 20:17:18
あれはいつの事だろう。俺が小学1～2年の頃だったように覚えている。
季節はちょうど秋から冬に変わる頃。ｶｰﾁｬﾝの誕生日に何かﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄしようと5つ下の妹と二人で考えてた。
何を買おうか悩んだ揚句、一足の靴を買う事にした。

いつも運動靴姿のｶｰﾁｬﾝがたまにお洒落する時のﾊｲﾋｰﾙ姿が二人とも好きだったからだ。
しかし、俺は小学生で妹はまだ幼稚園にもならない二人がﾊｲﾋｰﾙ買う金なんてあるわけない。
二人の小さい頭で悩んだ末、小遣いを貯めようって事になり毎日肩たたき一回50円とか、
ﾄｰﾁｬﾝの手伝いなんかしてお金を貯めていった。



65 名前：秋刀魚 ◆jvNuPGUm/s [sage] 投稿日：2007/02/02(金) 20:28:50
妹なんか、｢ｵﾈｼｮしなかったら100円ちょーだい!!!｣とか言ってたっけなｗ
そんなこんなで3000円くらい貯まった。でもｶｰﾁｬﾝの足のｻｲｽﾞがわからない・・。
ｶｰﾁｬﾝのﾊｲﾋｰﾙを見てもｻｲｽﾞらしき物は書いてなくてｶｰﾁｬﾝに足のｻｲｽﾞを聞いた。
｢ｶｰﾁｬﾝ足のｻｲｽﾞいくつ?｣
｢24.5だけどなんで?｣
｢んーん。なんでもないよ♪｣

そんときは幼いながらも、さりげなく聞いたつもりだったんだけど今思うとﾊﾞﾚﾊﾞﾚだったなｗって思う。
お金も靴のｻｲｽﾞもわかったしあとは店に行って買うだけだ。



66 名前：秋刀魚 ◆jvNuPGUm/s [sage] 投稿日：2007/02/02(金) 20:38:29
でも俺も妹も親と一緒にしか出掛けた事しかなかったしどうやって買うのかすらわからなかった。
すごい恐かったけどｶｰﾁｬﾝの喜ぶ顔が見たくて勇気を振り絞って近くの商店街にある靴屋に二人で出掛けた。
ﾎﾝﾄあん時は初めてのお使いみたいだったなｗ妹と二人で手を繋ぎながらﾜｸﾜｸﾄﾞｷﾄﾞｷしながら商店街を歩いたっけｗ
んでようやく店にたどり着いた。早速、ｶｰﾁｬﾝに似合う靴を捜し始め、あれが似合うこれが似合うとか言い合いながら
二人ともこれだって思った白いﾊｲﾋｰﾙに決めた。でもどうやって買うかわからない。しかも二人とも人見知りｗ



67 名前：秋刀魚 ◆jvNuPGUm/s [sage] 投稿日：2007/02/02(金) 20:47:32
店のｵﾊﾞﾁｬﾝに話かける事も出来ずに店内を30分くらいｳﾛﾁｮﾛｳﾛﾁｮﾛ・・・。
｢何か探してるのかな？｣
店のｵﾊﾞﾁｬﾝが話し掛けてきてくれた。
｢あのね、お母さんに靴買ってあげんの。あの白い靴が似合うの。あれが欲しいの。｣
｢あーホントに。あれね♪きっとお母さんに似合うね♪｣
｢うん！あれ絶対似合うんだよ！あれちょーだい！｣
｢はいはい。あれね♪｣

たぶんそんな会話をしたと思う。うろ覚えだけどねｗ
帰り道は達成感と早くｶｰﾁｬﾝに渡したいってｷﾓﾁでいっぱいだった事を今でも覚えてる。
行きは無口だった二人も帰りは笑って話ながら帰った。



68 名前：秋刀魚 ◆jvNuPGUm/s [sage] 投稿日：2007/02/02(金) 20:57:26
そしてｶｰﾁｬﾝの誕生日の日。誕生日ﾊﾟｰﾃｨｰをやる事になっていて、その時にあげれば良いものを
二人とも待ちきれなかったのか、その日の朝にやる事にした。
ｶｰﾁｬﾝは仕事の支度をして忙しそうだった。
そのすきに押し入れにしまってあったﾊｲﾋｰﾙをｶｰﾁｬﾝの目の前に置いた。
｢ｶｰﾁｬﾝこれ！誕生日おめでとう♪｣
｢何これ？｣
｢良いからあけてー♪はやくはやく♪｣
ラッピングしてある箱を綺麗に剥がすｶｰﾁｬﾝ。
｢どうしたのこれ！？｣
｢だからぁー誕生日ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄだよ♪｣
｢・・・。｣
俺と妹はｶｰﾁｬﾝに苦しいくらいに抱きしめられた。



69 名前：秋刀魚 ◆jvNuPGUm/s [sage] 投稿日：2007/02/02(金) 21:05:21
ｶｰﾁｬﾝは何度も何度も｢ありがとうねーありがとうねー・・｣って言った。
いつもは厳しくて泣いたとこなんて見た事もないｶｰﾁｬﾝの目から涙がこぼれてた。
｢ｶｰﾁｬﾝどうしたの？悲しいの？ごめんなさい・・・｣
｢んーん。これはｳﾚｼｲ時に出る涙なんだよ。ありがとうね♪｣
って笑いながら泣いてた。俺と妹も笑った。

そしてｶｰﾁｬﾝはその日、俺達がﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄしたﾊｲﾋｰﾙを履いて仕事へ出掛けた。

今日またｶｰﾁｬﾝにﾊｲﾋｰﾙをﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄしようと思った。