ちなみにまりあ編と社会人編は
今の割合くらいの予定なんだけどOKかな?
みんなまりあ(プライベートパート)のほうに
興味ありそうなんだけど・・・
会社へ行ける安堵感。
そして会社で向けられるであろう厳しい視線。
それが丁度半分の割合で心を支配した。
おふくろに電話しなきゃ。
そう思い携帯を持った瞬間、着信が鳴った。
知らない番号。
誰だ・・・?
実はこの着信の人物が
のちに空室である304号室の住人となる。
304号室の住人は悟るかも。
知らない番号なのは、携帯 変えたとか。
「もしもし?」
「あ!もしもし二宮くん?渡辺です」
渡辺か。会社で俺の番号を調べたのだろう。
「どうしたの?渡辺」
「うん。明日から出社するんだよね」
「さっき総務から電話があったよ」
「良かったね。またがんばろうね」
俺は嬉しかった。
そんなことのためにわざわざ電話をくれたんだ。
同期って本当にいいよな。
俺はどうしても聞きたいことがあった。
「例のVP・・・。どうなったか渡辺知ってる?」
「噂だけど無事進行してるみたいだよ。私は技術だからよく分からないけど」
なにより嬉しい情報であった。
少なくとも会社に金銭的損害を与えた可能性は低いと思われる。
そしておふくろにも電話をしておいた。
10日間の謹慎は伝えず
とりあえずは元気で仕事も順調だよ。
それだけ伝えた。
おふくろは少し不安そうだったが
それでも喜んでくれた。
明日からまた仕事だ。
今度はミスは許されない。
もし今度・・・こんなミスをしたら。
潔く会社を辞めよう!
俺に映像業界は向いていなかったというわけだ。
その日はシャワーを浴びて早く寝た。
まりあや油田と過ごした日々が
非日常であったような気がした。
俺は社会に戻っていくんだ!
まりあ
渡辺
どっちにしようかな。
そうかwまりあ好きになったとは書いてないな・・・w
>>1を読め
>>1はまりあを元カノと呼んでいる
どんな顔をして出社すればいいのか?
いま思い出しても新入社員の日々は
業務以外のことに心が支配されていたように思う。
会社に着く。深呼吸をしてから入った。
早めの出勤なのでまだ人はまばらだ。
それでも数人の社員がいたので挨拶をする。
みんなは何事も無かったように
挨拶を返してくれた。
制作に配属された同期は
「良かったね。戻ってこれて」
と俺の復帰を喜んでくれた。
俺のいない10日間
彼らも必死に生き抜いてきたに違いない。
そんな俺に1人の男が声を掛けてきた。
意外な人物だった。
孤高の天才であり、社内のはぐれ者である田畑さんだった。
「すみませんでした。今回はご迷惑を・・・」
なぜか必死に田畑さんに謝罪をしている。
「俺は別に迷惑なんか掛けられてねぇ」
独特の低い声で言う田畑さん。
さらに
「二宮。お前がこの会社にずっといたいのなら・・・」
ゴクリ・・・。いたいのなら??
「会社のためとか考えるな。俺らは技術を身につければ
フリーにもなれる。会社に身を捧げて自分を潰すんじゃねーぞ」
それだけ言って田畑さんは自分のデスクに帰っていった。
そして孤高の天才は台本制作に取り掛かった。
そんな時、赤松が出社してきた。
俺は赤松に駆け寄った。
この瞬間が昨日から1番恐れていた時間だ。
「すみませんでした。赤松さん。僕のせいで・・・」
赤松は俺のほうに顔を向けずに
「ああ・・・・」とだけ言い残し
自分のデスクに座った。
赤松には完全に見捨てられた様子だ。
トボトボと自分の席に戻る。
仕事がない。何一つとしてやることがない。
苦痛だった。
そこにスーツ姿の男が現れた。
総務部の男であった。
「赤松さん。二宮さん。総務部へ来て下さい」
な・・・なんだ。
こんな状況になることはあるけどオレはよく携帯でvipしてるなw
孤高の天才乙
「二宮くん。よく来たね」
役員の1人が優しい声を掛けてくれた。
俺と赤松は役員連中の前に並んで立った。
「さてと・・・」
役員が切り出す。
「今回の件で代理店側から大幅に制作費を削られたのはご存知の通り」
ご・・・ご存知ありません。
「そこで会社としては一応の処分を赤松さんと二宮くんに下します」
処分・・・!!
「赤松さんは6ヶ月の減給。二宮くんは2ヶ月の減給」
意外だった。
俺より赤松の方が処分が重い。
これがサラリーマン社会なのか。
赤松が口を開く
「ちょっと待って下さいよ。上司だからと言って
お使い程度のことまで管理しきれませんよ」
確かにそうだ。
俺は下を向いて唇を噛むしかない。
総務部を出た俺と赤松。
やはりもう一度謝るべきだろう。
「すみませんでした。赤松さん」
しかし無視された。
制作部のフロアに戻るとご丁寧に
俺と赤松の処分を記した紙が貼られていた。
気が滅入る。働いて給料を貰うのはこんなにも
苦痛の連続なのか。
それから俺は自分のデスクでただ座っているしかなかった。
仕事が無い。
電話はジャンジャン鳴り。みんな忙しそうに働く。
取り残された気分だった。
昼前のことだった。
プロデューサーの1人である南さんが声を掛けてきた。
社内でも有名なアホだった。
50歳前で独身。
空気が読めない上に
今だに簡単な書類も書けない人間である。
入社2日目には「南さんはバカだから相手しないほうがいいよ」と
先輩に教えられたほどだ。
しかし・・・しかし。
根はいいオッサンなのだ。
空気が読めない分いつも明るい。
それが反感を買ってしまうのだろうが・・・。
どの会社にも1人はいそうな人物だ。
「二宮は俺が預かることになったよ。よろしくね」
その日の午後に俺のデスクは
南の横になっていた。
南は俺の問いになんでも教えてくれる。
間違いも多く含んでいるのでその辺りは注意が必要だが。
「まぁ。前の件は忘れてがんばれ」
南は俺を励ましてくれた。
まさに性格は赤松と対極であろう。
さて南の持っている仕事が
今後俺の担当する仕事になる。
それはパブリシティという仕事だ。
俺たちは通常略して「パブ」と呼ぶ。
簡単に説明すると簡易CMのようなものだ。
普段TVで見ているCMは、通常フィルムで撮影されているものが
ほとんどである。
制作費も1千万円~1億円なんてザラだ。
有名タレントを起用し、たった15秒に制作期間は1ヶ月程度要する。
しかしパブリシティCMは1本15万程度の制作費で
8本~15本程度を1日で撮影し編集する。
つまりはTV局がスポンサー確保のため
粗品程度に流してやる1回こっきりのサービスCMと思えば良い。
フリーという言葉にドキッとした。
どうしても志村の顔が思い浮かぶ。
なぜ俺は社内ディレクターに縁がないのだ。
今度のディレクターは果たしてどんな人物なのだろうか?
15時制作フロアにドデカイ声が響いた。
「どーーーも!!おーーー南さん!来たよ!」
川田さんだった。
その姿を見てビックリした。
40台前半と思われるが
髪は金髪でサングラス。
スーツはビシッと来ているが中はTシャツである。
一瞬で凶器に変化しそうな
ジュラルミンのアタッシュケースを持っていた。
しかしこの出会いが
師匠との最初の出会いになったのだ。
これから仕事だけど今日で終わる事はまずないだろうな
じゃ二宮頑張ってくれ
ラッキーマンが出てくる俺は・・・
俺と川田さんは早速2人で次の撮影の打ち合わせをした。
俺は最初この人が怖かった。
何を考えているか分からない。
ヘタなことを聞くと志村の二の舞にならないとも限らない。
「川田さん。この撮影の段取りどうしましょうか・・・?」
恐る恐る聞く俺。
川田さんは眉間にシワを寄せ「う~ん」と唸っている。
そして・・・。
「適当でいいんじゃね?」
へ・・・?
「あの適当だと香盤表が・・・その適当になってしまうかと・・・」
「香盤なんて適当でいいんじゃね?」
たしか、あれが無いと話にならないのでは・・・。
俺の知ってる人はなんか駄目な人だったがね
一週間もしないで帰ってきた自分が憎い
働くの怖い…orz
「二宮は将来何者になりたいんだ?」
出会った直後の他社の人間を
すぐに呼び捨てにしているところが川田さんらしい。
俺は気合を見せるために大きな声で
「はい!将来はディレクターになりたいです」と答えた。
「うるさいから普通の声でいいよ。
あのな二宮。俺らはクリエイターだ。
香盤みたいなもん
いくら上手く作ってもディレクターになれんぞ」
衝撃だった。
この人はなんて破天荒なんだ。
志村には何度もやり直しをくらった香盤表を・・・・。
「それよりなぁ。二宮」
サングラスの奥の目が怖い。
この人も昔、絶対ヤンキーだったはずだ。
「お前仕事何時まで?」
また戻るね
二宮待ってるぜ
さっさと続きかけよ!!!
いろいろあって業界人嫌いだったけどこのスレ見て反省した
おかえり
続きまってるぞ
まりあと悟、二宮と渡辺・・・
じゃあ、油田は?
川田だろw
吹いたwwww
2次嫁じゃない?
二宮がんがれ―――――!!
「ふーん。」
川田さんが席を立つ。
川田さんは南さんに近づいてこう言った
「南さん。いまから二宮と撮影のスタジオ確認してきます」
南さんは適当に「はいよ!」と答える。
「行くぞ二宮」
スタスタと会社を出る川田さん。
俺は慌てて後を追った。
そうか!演出家はスタジオの確認をするのだな。
そうだよな。
そこにある照明機材や
スタジオの広さを確認することで
可能な演出を考えるんだな。
勉強になったぜ!
しかし30分後。
俺達はなぜか焼き鳥やにいた。
ちょwwwwwwかwwwwwわwwwwwwwだwwwwwww
期待していい?
ないない
大学以上にないんでない?
あるあ・・・ねーよwwwwwガチでねーからwww
>>89
>>91
やっぱりそれが現実か・・・
「まぁ飲めよ。かんぱーい」
川田さんがグラスを傾けてくる。
俺は驚きながらも川田さんに聞いた。
「ちょ。川田さん。スタジオは見なくていいんですか?」
川田さんはビールをグイグイ飲むと
泡まみれの口で
「なんで見るの?見てもなんも変わらないじゃん」と答えた。
既に2杯目のお代わりを店員に注文している。
「いや。でも香盤表も出来てないし・・・。」
「あのよ。二宮」
2杯目のビールに口をつけた川田さんが言った。
「お前なんのために香盤書くの?」
「それは当然撮影を円滑にするため・・・というか。」
それを聞いた川田さんは「あははは」と大きな声で笑う。
「お前みたいなペーペーの書いた香盤で撮影が円滑に進まねーよ」
俺は少しムッとした。
俺だって志村の嫌味に耐え
なんとか様になる香盤表を書いたのだ。
川田さんは言う。
そして「ビール飲めよ。ぬるくなるぜ」
俺はグイグイとビールを飲んだ。
うまい。酒好きの俺だ。
ビールは確かにうまい。
しかし・・・だ。
志村みたいなタイプも困るが
川田さんみたいなタイプも困ったものだ。
この人に付いて行ったら
俺の将来はどうなるのだ?
「あのな。二宮よ」
川田さんは少し真剣な口調になった。
「お前がどんなに素晴らしい香盤を書いても
俺は自分が納得しなきゃ終わらない」
「そのためにお前の会社がスタジオ代を多く支払っても
俺の知ったことじゃない」
そ・・・そうなのか?
「ただ。逆の言い方をすれば・・・」
「香盤をオーバーして撮影が長引けば
それは俺の責任だ。お前の責任じゃない」
基礎の上に成り立つものじゃないか?
新人はとりあえず何でも取り組むべきだと思うが
この人に付いて行こうと。
それで俺が一人前のディレクターに成れなかった場合は
俺の責任だ。
才能が無かったのかもしれない。
だたそれだけだ。
そんなことはどうでもいい。
入社して今まで出会った人物で
「俺の責任だ」と言ってくれた人はいたか?
赤松、志村、会社の役員連中。
口には出さないが、俺に全ての責任を負わせた。
しかし。この人は・・・川田さんは。
フリーの身でありながら全く関係のない人間である
俺の責任まで負ってくれるというのだ。
「それによ・・・」川田さんは言った。
「パブみたいなクソみたいな仕事、お前サッサとディレクターになって
俺から奪っていけよ」
泣きそうになった。
この人物が俺に初めて「ディレクターになれ」と言った人だ。
ん?二宮・・・ちゃん?
「この後キャバ行かね?」
これが俺の会社復帰第1日目であった。
そこで油田と遭遇ですね わかります
> 口には出さないが、俺に全ての責任を負わせた
ここだけなんか違和感が
少なくとも上司の赤松は責任取らされてるし
その他尻拭いは>>1以外がやったと思うんだが
赤松は減俸いわれた時になんて言ったよ
責任取ったんじゃなくてしぶしぶ取らされただけじゃん
新人に対してそこまでの経緯も放置過ぎだしさ
新人鍛えるために仕事放り投げるにしても、
ケツは自分がもつ覚悟でいるもんだし、
要所要所大怪我しないようチェックはするものです。
確かにそうだけど
赤松が減給され代理店には迷惑を掛け
会社には損害を与えた
しかし新入社員の俺をフォローしてくれる
人間はいなかった。
とか心情を細かく書きすぎると
進行遅くなるからさ。
今後もその辺は察してくださいな
すまん なんかちょっときになったからさ
今後はのんびりみてることにします
俺は川田さんの専属AD状態になった。
身を粉にして働いた。
余計な事は考えるな!
俺は川田さんのしたい演出の
手助けをするのが仕事だ。
社内の視線など気にするな!
いまの俺には働くことしか出来ないのだ。
そんな感じで1ヶ月が過ぎた。
川田さんもまぁまぁ俺を信用してくれている様子だ。
川田さんの仕事は良く言えば大らか。
悪く言えば適当だった。
この時期になると携帯に電話が入ってきて
「ごめ~ん。二宮。俺酔っぱだから原稿書いてて」等と
とても南さんには報告出来ないような仕事を頼んでくる。
マジっすか!?とよく心の中で呟いたものだ。
隣のデスクの南さんの目を盗んで。
それをパソコンで南さんに送信する。
返事が来る。
「お前文章下手ね(笑)やっぱ俺が書くから待ってろ」
随時がそんな調子だった。
川田さんは俺によく言った。
「本は読めよ。二宮。文章をパクれるまでに読み込めよ」
それから俺は本を買い漁った。
台本の練習もした。
川田さんがちゃんと台本を書いている時でも
自分なりの台本を書いて川田さんに見てもらった。
川田さんも添削をして返してくれた。
通常業務に加え、ディレクターになるための修行。
俺の帰宅は早くて24時になった。
泊り込みもしばしばだ。
そんな生活が続けば
当然まりあや油田とは疎遠になる。
二宮・・あんた漢だ
どんな本読んだんだろ?
これは撮影で使った商品をスポンサーに返さず
スタッフが持って帰ってもよい物を指す。
食品が圧倒的に多い。
家庭用品やレアポスターも案外ある。
例えばキムタクのFMVのポスターがあったとしよう。
こんな物も消え物だ。
通常は家電量販店などしか手に入れることは出来ない。
商業用のPOPなどにしてもそうだ。
よくネットオークションでレアポスターが出品されているが
俺は業界人が消え物を流していると考えている。
ある日インスタントカレーの消え物が出た。
「川田さん。カレー持って帰りますか?」
川田さんは
「いらね。俺ボンカレーしか食わね。貧乏人のお前にやる」と言ってくれた。
カレーといえば。
やっぱりまりあだ。
ちょっとCoCo壱いって納豆ほうれん草カレー食ってくる
20時。
バイトが無ければまりあが家にいてもおかしくない時間だ。
とりあえず301号のインターホンを押した。
油田もインタントカレーの類は好きそうだ。
2~3個あげよう。
しかし油田は留守の様子だ。
仕方ないよね。
全部まりあにあげよう。
俺は302号のインターホンを押した。
しばらく応答がない。
「留守かな?」諦めかけた時だった。
「はい?」まりあの声が聞こえた。
「俺です。光輝です。カレーのおすそ分けなんですが・・・」
「あ・・・。光輝くん。ちょっと待ってね」
そういえば2週間ほどまりあに会っていなかった。
まりあの顔が見られる。俺は少しドキドキしながら
ドアが開くのを待った。
「これ撮影の余り物なんだけど、もし良かったらまり・・・」
!!!!!?????
「やぁやぁ。どうもどうも」
目の前には油田が立っていた。
「お久です。二宮さん」
「・・・・・・・・・(アングリ)」
後ろからまりあが登場した。
「光輝くん久しぶり~。元気だった?」
「・・・・・・・・・・・」
「上がって上がって」
「今カレー作ったところなんだ♪」
カレー・・・ですか?
となりにはオタクがいた・・・。
なにがどうなっているんだ??
「まぁ。おひとつどうぞ」
呆然とする俺にビールを注いでくるデブ。
なぁ?デブよ・・・。お前が恋の勝者なのか?
まりあがカレーを2つ持ってリビングにやってきた。
「召し上がれ!」
召し上がれと言う言葉を初めて生で聞いた。
まりあは確かに可愛い。
そして目の前のカレーも美味そうだ。実に・・・。
「実にうまいですよ。まりあちゃんのカレーは」
うるせーデブ。お前は俺の持って帰ってきた
消え物のカレーでも食ってろや!
「君ねー。油田くんさぁ」
俺は隣で汗をかきながら
カレーを頬張るオタクに話掛けた。
「なんですか?」
その上目遣いをやめろ!
「なんでさぁーいるかなぁ?君がここに?
なぜ君がここでカレーを食ってんのかなぁ?」
油田はフフフ・・・。と不気味に笑うと
「有閑倶楽部ですよ。有閑倶楽部」と意味不明の言葉を並べた。
「なによ?ユウカンクラブって?」
「嫌だなぁー。二宮さん知らないんですか?巨匠一条ゆかりのマンガですよ。」
後になって分かったが最近ドラマ化された
「有閑倶楽部」という少女漫画のことらしい。
「そのユウカンクラブがなぜカレーなのよ?」
油田はまたしてもフフフ・・・と笑いながら
「お礼ですよ。有閑倶楽部を貸してあげたお礼です」
これドラマの時期?ドラマよりも前の話だよな?
そんなに時系列つかむの苦手かww
コミックは当時からあったんだろ
有閑倶楽部のお礼かなにか知らないが
こんな足の臭いオタクを
1人の部屋に呼び込むなんて
あまりにも無防備すぎるだろ!
心の中でそう呟いていると、張本人のまりあが俺の横に座った。
「いただきま~す」等と言ってのん気にカレーを食べようとしている。
俺が仕事にかまけている間に
事態がここまで深刻になっているとは・・・。
これは注意せねばイカンな。
年長者として・・・。
社会人として・・・。
そして恋のライバル(油田なのが情けない)を蹴落とすために!!
「あのねー君たちさぁ・・・」
「そうそう!光輝くん何時に帰ったの?」
へ・・・?
「何度も呼びに行ったんだよ。光輝くんの部屋に」
え・・・。そうなの?
隣のデブはそ知らぬ顔をしてカレーを食っている。
「うんうん。光輝くんもカレー好きそうじゃん。でも丁度タイミング良かったね♪」
今日のところは注意はやめておいてやるか。
カミュさんこんなしゃべらねーだろww
,ノ \
/ ,r‐へへく⌒'¬、 ヽ
{ノ へ.._、 ,,/~` 〉 }
/プ ̄`y'¨Y´ ̄ヽ―}j=く 有閑倶楽部ですよ。有閑倶楽部
ノ /レ'>-〈_ュ`ー‐' リ,イ}
/ _勺 イ;;∵r;==、、∴'∵; シ
,/ └' ノ \ こ¨` ノ{ー--、___
人__/ーー 个-、__,,.. ‐'´ 〃;`-ー-ー\
. /::::::::::::|/::::::::::::、 〃::::::TG::::::::::::::ヽ
おれの油田のイメージまさにこいつだww
一応渡辺の説明も必要かもしれない。
技術部の渡辺はカメラマン志望である。
ほとんど毎日ロケに出ているので
制作部の俺と顔を会わす機会は少ない。
この業界全般にいえることだが化粧をしない。
特に技術部の渡辺は化粧が落ちてしまうし
先輩から嫌味を言われるのであろうか?
化粧をした姿を見たことがない。
いつもGパンにTシャツ。
そしてノーメイクだ。
入社初日には俺に涙を見せた渡辺。
きっと気が弱い子なんだろうな?
そんな想像をしていたが、とんでもない!
人一倍気が強く。
業界向きである。
今にして思えばあの涙は悔し涙だったのかもしれない。
事実あれ以降は渡辺が泣いている姿を見ていない。
,ノ \
/ ,r‐へへく⌒'¬、 ヽ
{ノ へ.._、 ,,/~` 〉 } ,r=-、
/ク ̄`y'¨Y´ ̄ヽ―}j=く /,ミ=/
ノ /ル'>-〈_ュ`ー‐' リ,イ} 〃 /
/ _勺 ミ;;∵r;==、、∴'∵; シ 〃 /
,/ └' ノ \ こ¨` ノ{ー--、〃__/
人__/ー┬ 个-、__,,.. ‐'´ 〃`ァーァー\
. / |/ |::::::|、 〃 /:::::/ ヽ
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こらwwwwww
お前じゃねえってww
タイミングばっちりすぎるだろwwwwww
女らしい素振りは全くみせないが
まりあが可愛いタイプ。大塚愛とすれば
渡辺はキツイ系の美人。柴崎コウといったところだ。
その渡辺が声を掛けてきた。
「今日はロケ?」
「ないよ。お前は?」
「私もないよ。かなり久しぶりにね」
「ふーん。技術ってロケない時なにしてるの?」
「機材の点検とか勉強」
そんな他愛の無い会話の最中に渡辺が言った。
「今日は何時終わり?」
「決まってないけど8時くらいかな」
「そんじゃ飲みに行こうよ。相談あるんだ」
「いいよ。んじゃ帰り技術部に寄るわ」
こうして渡辺と飲みに行くことになった。
>>1がうらやまし過ぎる・・・
ちなみに俺は渡辺に対して女を感じない。
これは人それぞれの好みの問題だろう。
「相談ってなによ?」
「二宮くんの部屋って会社に近いよね」
会社まで3駅。間取りや家賃をザックリと伝える。
「なにお前?引っ越すの?」
「うん。考えてるんだ。私いま実家だしね。通勤に1時間掛かるし」
この業界は朝が早い事が多い。
ロケだと6時に会社発という場合もある。
確かに1時間も掛かれば
前日に会社に泊まることもあるだろう。
始発では間に合わない場合もあるのだ。
「やっぱお風呂には入りたいじゃん。女だしね」
渡辺の言うことはもっともだ。
「それでさぁ。今度の休み二宮くんの家行っていい?」
「なんで?」
「家賃と間取りの相場知っておきたいんだ」
それは別にいいが。
そんな物が見たいのか?
まりあ:大塚愛
渡辺:柴咲コウ
油田:
,. -ー冖'⌒'ー-、
,ノ \
/ ,r‐へへく⌒'¬、 ヽ
{ノ へ.._、 ,,/~` 〉 } ,r=-、
/ク ̄`y'¨Y´ ̄ヽ―}j=く /,ミ=/
ノ /ル'>-〈_ュ`ー‐' リ,イ} 〃 /
/ _勺 ミ;;∵r;==、、∴'∵; シ 〃 /
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人__/ー┬ 个-、__,,.. ‐'´ 〃`ァーァー\
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志村:志村けん
油田のキャスティングが絶妙過ぎるwwwwwwwwwwww
おまえのせいで、そのAAの名前=油田でインプットされちまったwwwwww
仕事の愚痴で盛り上がり解散した。
次の休みは意外に早く一致した。
日曜であった。
俺はともかく渡辺が日曜に休める機会はそうそうない。
その日、俺は自宅近くの駅まで渡辺を迎えに行った。
降りてきた女はまるで別人だった。
化粧をしている。
しかもスカートなんか穿いていた。
俺は大げさではなく別人だと思った。
「二宮くんごめんね」
そう声を掛けられるまで全く気づかなかった。
余談だが、渡辺が家に来ることを川田さんに話した時。
「あの綺麗なねーちゃんか?ちゃんとカケ(ヤルという業界用語)よ!」
とアドバイス?をくれた。
俺は「間違ってもありませんよ~。だって女感じませんもん。アイツに」等と
笑っていたが・・・。
今日の渡辺は女の子にしか見えない。
だいじょうぶ?まってるよ
俺は油田を応援している
だな、こういう話きいてても絶対主役になんてなるわけがない
キモオタ役やうざい役が俺らなんだよな・・・・なに夢みてるんだろ
>>119
やめろよ・・・
ここでくらい現実忘れさせろよ・・・
仲のいい女の子がいる時点で俺らより勝ち組
あれ・・・?俺おかしい・・・。
なんか渡辺相手に緊張してない?
「うん」といって俺に並んで歩く渡辺。
あまり近づかないでくれ。
お前相手にドキドキしたくないの。
「二宮くん。お昼食べた?」
「え・・・まだ」
「そんじゃーさぁ・・・」
「あそこで食べない?あのカレー屋さん」
先を見ると・・・。そこはまりあのカレー屋さんだった。
「え・・・あそこ?」
「うん。私カレー食べたい」
「そうなの・・・?そうね」
なぜ緊張するんだ!?俺!
俺は同期とカレーを食うだけだ。
たとえまりあがいたとしても
やましい事など一つもない。
しかもまりあは彼女でもなんでもない。
それにバイト出てるかどうか分からないじゃん。
俺と渡辺はカレー屋のドアをくぐった。
ゆっちゃらめえええ><
シーッ!
そう言いつつ俺も今カレー
オレも
やっぱ夏はカレー
なんと…
俺も明日の朝は一晩寝かせたカレー
肉とにんじん買いに行こう
テーブルを拭いている女の子が言った。
顔を見るまでも無い。
声が既にまりあなのである。
渡辺と入店した俺を見て
まりあはしばしキョトンとしていた。
「・・・いらっしゃいませ」
もしかして驚いてる?驚いてる?
「ああ。この子同じマンションの子。新田さん」
苗字で紹介をした。
でもそれが普通だと思う。
「こんにちは」
渡辺は業界人らしくキビキビした挨拶をする。
「どうも・・・」まりあもキョトンとした顔で返事をする。
「で・・・。これがの同・・・」
渡辺を紹介しようとした瞬間。
「ここに座ろう!」と渡辺に引っ張られた。
まりあも厨房に消えて行く。
渡辺を紹介するタイミングを失った。
やられたな二宮wwww
無機質な声を出すまりあ。
なんかムスッとしてない?
渡辺は「うずら玉子カレー」を注文した。
悪くない。確かにそれも悪くはない。
しかし俺は「納豆、フライドチキンカレー」を注文した。
やっぱこれだよね。
「少々お待ち下さい」
厨房に消えるまりあ。
やっぱりムスッとしてるよ。
しばらくするとまりあがカレーを2皿持ってきた。
俺たちのテーブルに置くと「ごゆっくりどうぞ」と言ってまた厨房へ。
間違いない!まりあは不機嫌だ!
当時これだけモテて今はこの仕事で培った文才でこれほどまでに俺を魅了させて・・・
もう二宮様って呼ばしてもらうわ
????
納豆が入ってないじゃん。
俺はまりあを呼んだ。
「あの。納豆が入ってません・・・」
まりあはカレー皿をサッと手に取ると
奥の厨房へ消えた。
カレーに納豆を乗せて戻ってくると
「どうもすみませんでした」と言って厨房へと戻る。
怖い。怖いよ。まりあ
さすがに俺もウブがるつもりは無い。
これは嫉妬なのか?ヤキモチでは?等と考えなくもない。
という事はだ・・・。
まりあは俺のことが好きなのか・・・?
「なにこれ~。グロい~。食べ物じゃないよね」
渡辺が俺のカレーを見て大笑いしていた。
仕事はちゃんとしろ
いや、でも自分だったら・・・
俺のまりあに説教すんな
301 油田
302 まりあ
303 二宮(>>1)
304 空き部屋(渡辺入居予定)
305 俺
勝手に入居すんなwwwwwwww
302 まりあ
303 二宮(>>1)
304 空き部屋(渡辺入居予定)
305 >>171
306 俺
306 俺とお前
だろ!
くるなよwww
おまえは油田の下の階にでもすんでろwww
302 まりあ(俺)
303 二宮(>>1)
304 空き部屋(渡辺入居予定)
305 >>171
306 >>176
302 まりあ
303 二宮(>>1)
304 空き部屋(渡辺+俺入居予定)
305 >>171
306 >>176+178 アッー!
302 まりあ&俺夫妻
303 二宮(>>1)&渡辺夫妻
304 空き部屋(渡辺入居予定)
305 >>171
306 >>176
302 まりあ(俺)
303 二宮(>>1)
304 空き部屋(俺と渡辺でルームシェア予定)
305 >>171
306 >>176
だとすればだ・・・。
この目の前の女。
同期渡辺をどうにかせねば!!
そんな俺の思いも露知らず。
渡辺は「ちょっと食べていい?納豆カレー」と
はしゃいでいる。
食ってもいいから。
いかにもカップルみたいなマネはやめてくれ!
「やっぱ不味いね~」
うんうん。そうか。そうか。そうですか。
俺はまりあに告るタイミングなどを考えていた。
まさかとは思うが油田の動きにも
万全の注意が必要だ。
俺と渡辺はカレーを完食すると席を立った。
会計もまりあだった。
「1750円です」
財布を出す俺・・・。しかし
「今日は奢るね」といって渡辺が先に2000円を出した。
だからそういうマネをやめろと言っとるんだ!
しどろもどろする俺。
「いいから♪いいから♪」
お前が良くても俺が・・・。
「250円のお返しです」
まりあもお釣り用意してるし!
俺と渡辺は店を出た。
まぁ多少の誤解を生んでしまったが間違いない!
あれはヤキモチだ!いや・・・そのはず・・・だ。
俺と渡辺はマンションに到着した。
まずは外観を眺める渡辺。
「へぇー。綺麗だねー」と感心してくれた。
この物件は俺の入居前に外観塗装を施していた。
物件の説明をしていると
マンションから陰気臭い男が出てきた。
油田だ!!
油、二宮様がマンションの下を通る時に毎回出てきやがるwwww
「やぁやぁ。二宮さん。お盛んですなぁー」
その話方をやめい!
渡辺が不気味がるだろ。
「俺の会社の同期で渡辺」
とりあえず油田にも紹介する。
「こんにちは」
元気に挨拶をする渡辺。
しかし俺の後ろに
隠れ気味になったのは気づいていますよ?
「ほほぉー」メガネを軽く持ち上げて
品定めするように渡辺をジロジロと見る油田。
まるで質屋のオッサンみたいだ。
ニヤリと笑うと。「では・・・」と言ってどこかに消えて行った。
「あの人は?」渡辺が聞いてきた。
「住人・・・」とだけ答えた。
薄いブルーのフィルターがかかってる感じ
カレーとか終戦記念日とか、
キーワードも印象的で(゚Д゚)ウマー
だな、しかしそれゆえ人とまともに話せないってのはどうなんだろ
手前から油田の301号。
まりあの302号。
そして俺の303号。
しみじみと思った。
最初引っ越してきた時は不安一杯だった。
1人で残してきたおふくろも心配だった。
でも2ヶ月程度経った今・・・。
俺ちゃんと1人暮らしが出来てるよ。
おふくろも安心してくれるよね?
それはもちろん油田の存在やまりあの存在が大きい。
いなくても暮らせるが
楽しく暮らしているのはあの2人のお陰だ。
俺はドアにキーを差し込んで
「どうぞ!」と言って渡辺を招き入れた。
渡辺の第一声だった。
まりあにも言われたが
物が無いだけである。
TVとPC本棚が1つ。
あとはテーブルと座椅子。
大きい物ってそれくらいしかない。
「リビングも広いねー」
そうでしょ?そうでしょ?
それが自慢なんですよ!
渡辺は部屋をグルっと見渡すと
「これ見てよ」と言ってVHSを出した。
ビデオデッキはあるがなんのビデオだ?
AVはべたすぎる
技術部の部屋が映し出される。
部屋を何回もパン(カメラを横に振ること)している。
そしてペットボトルにズームすると
何回もティルト(カメラを上下に振ること)をしていた。
「どう?」と聞いてくる渡辺。
どうもこうもこんな映像に評価はつけ難い。
しかも俺は制作だから
カメラワークまでは分からない分野である。
「うまいんじゃない?」適当な返事をしておいた。
それでも渡辺は
「ここが難しいんだよ」
「やっぱズームに滑らかさがないよね」等と
呟いている。
こいつ本当にカメラが好きなんだな。
俺の部屋にビデオまで持ってきてさ。
本気でカメラマンになりたいんだな。
俺は渡辺の姿を見て
とてつもないひたむきさを感じた。
そして自分も頑張ろうと決意した。
被ってますよ。
俺も気にしなくていいよね?
キニスンナ
所詮冗談だきにすんな
くそwwこのスレの最後に言おうと思ってたのにwwwwww
渡辺は1人で盛り上がっていた。
やっと砂嵐が出た。
終わった・・・。
しかし次の瞬間、渡辺の口から
信じられない言葉を聞いた。
「ねぇ。もう1回見ていい?」
家で見ろやっ!仕事熱心もほどほどにせいよっ!
と言えるはずもなく
「いいよ・・・」と言ってしまう俺。
こんな時の断り文句ってあるのか?
2度目の鑑賞が終わった時に渡辺が聞いてきた。
「ここ家賃はいくら?」
答える俺。
「それじゃ私も304号室に引越しするね♪」
え・・・・・??
コイツなぜ304号が空室だと・・・。ハッとした!
そうだこの前一緒に飲んだ時。
「俺の隣の部屋開いてるよ。304号。渡辺そこ住めよー」
タラリ・・・。
酔った勢いでそんなことを言った・・・ような気がする。
「間取りはここと同じなのかなぁ??」
もう住む気になっているし!!
しかし今はあの時と状況が違う。
今はシラフである。
しかもしかも・・・。
今日まりあは俺にヤキモチを焼いた(ハズ)なんだよー!
隣にその原因である女が引っ越してきて
恋が成就するハズが無い!
「ちょっと待て。渡辺!」
どうにかして阻止せねば。
「304号なんて数字が悪い。4の付く部屋なんか住むもんじゃない」
「私そういうの気にしないから!大丈夫!」
「そうだ。さっき下で会ったデブのオタク。あいつ301号に住んでんだ。
不気味だっただろ?」
「二宮くんの友達でしょ?平気だよ」
俺は渡辺が引越しを諦める理由を必死で考えた。
しかし引かない渡辺ww
「会社の連中にバレたらどうするんだよ?
同期とはいえ、いくらなんでも
男と女が隣に住んだら怪しむよ?世間は?」
「そのことなんだけどさぁ・・・・。内緒にしててね♪会社には」
ここでニコッと笑顔。
コイツ可愛い・・・。
いや。そんな場合じゃない。
「なんでよ?なんで会社に内緒なのよ?」
渡辺は悪びれる様子もなく
「安くなった交通費の分を家賃に回すからだよ」
な・・・なんと!
「だから実家住まいにしておいて、交通費多めに貰うの」
策士現る!
今日誕生日なんだが・・・
二宮に付き合うぜ!
wwktk
おめでとう
誕生日おめ!
二宮も頑張れー 俺も二宮だからなんか複雑だがwwww
おめでとう!カレーでお祝いだな
嬉しいもんだなwwこのへんで自重するww
二宮頑張れー
油田は私の婿・・・だが断る
304号の前で渡辺ははしゃいでいる。
「あー。憧れの1人暮らし♪」
確かに俺も同じこと思ったよな。
ここに越して来た日・・・。
渡辺の気持ち分かるわー。等と考えていた。
この時俺は純粋に
「部屋が押さえられてなければいいね」と思っていた。
しかし10秒後早くも考えは変わった。
チーン。エレベータが到着した音だ。
俺はドキリとした・・・。
ドキン・・・ドキン・・・。
油か?まりあか?
扉が開く・・・。
そこからはコンビニ袋を重そうに抱えたまりあが出てきた。
そこからはコンビニ袋を重そうに抱えたまりあが出てきた。
そこからはコンビニ袋を重そうに抱えたまりあが出てきた。
デターーーーーーー
ズコーーーーーーーー
ゴクリ・・
いいよーいいよー
でも応援しちゃうー
本文ですら油になってるwwwwww
どんだけ~~
馴染みすぎて気付かなかったwwww
もうすぐ・・・もうすぐ・・・。
その可愛い瞳が俺たち2人をロックオンしてしまうのね。
ロックオン完了!
空気の流れが止まった。
立ち尽くすまりあ。フリーズする俺。
はしゃいでいる渡辺。
第一声を発したのは渡辺だった。
「あ!カレー屋さんだ。こんにちわ」
悪気は無いとはいえ「カレー屋」とか言って逆撫でするな!
「どうも」とだけ言って
自分の部屋へスタスタと移動するまりあ。
でもコンビニ袋が邪魔でキーがなかなか取り出せない様子。
「袋俺が持ってるよ。まり・・・・新田さん・・・」
まりあとは呼べない。
渡辺は仕事の同期だ。
隣人に恋愛をしているというプライベートは知られたくない。
「けっこうですっ!!!」
そう言うとまりあはガチャガチャとキーを取り出して
部屋へと消えて行った。
心の広いおにゃのこだと思ったんだがww
女の嫉妬って恐いんだな・・・
むじゃきすぎwwww
かわいい・・・・やっぱ俺、渡辺も好きだ
あれはまずいよな?
普通同期の女を部屋に入れるかな?
ヤッたと思われたかな?
渡辺の意向で方向を変更し不動産屋へ向かった。
俺にあの部屋を紹介してくれた不動産屋だ。
304号よ。どうか埋まっていてくれ!
俺の思いも届かず304号は見事に空き部屋だった。
喜ぶ渡辺。
「この物件はおすすめですよ!」
煽る不動産屋。
死んだ目の俺。
渡辺は大喜びで帰って行った。
俺は駅からの帰り道をトボトボと歩いた。
付き合っているなら言い訳も出来る。
今からまりあの部屋へ行って言い訳するのもアリだ。
しかし今はそんな関係でもない。
俺はマンションに到着した。
自分の部屋のドアの郵便受けに白い紙が挟まっていた。
???
その紙を開くとこう書かれていた。
「なんでまりあじゃなくて【新田さん】なんですかっ!?」
まりあかあいいよまりあ
けど、付き合ったら束縛や嫉妬が激しそうなタイプだwwww
∩___∩ ∩___∩
|ノ ヽ |ノ ヽ
/ (゚) (゚) | / (゚) (゚) |
| ( _●_) ミ | ( _●_) ミ あ~たし♪
彡、 |∪| 、` ̄ ̄ヽ /彡、 |∪| ミ
/ __ ヽノ Y ̄) | ( (/ ヽノ_ | さくらんぼ~♪
(___) Y_ノ ヽ/ (___ノ
\ | | /
| /\ \ / /\ |
| / ) ) ( ( ヽ |
∪ ( \ / ) ∪
\_) (_/
ウザいの拾ってくるなwwwwwwwwww
真夜中にでかい声でわらっちまったじゃねーかwwwwwwwwwwww
当時の俺は仕事に夢中だった。
もう二度とミスはしたくない。
そして川田さんの演出を盗みたい。
これしか頭に無かった。
実際川田さんは演出においても大雑把であった。
手を抜くべきところは抜きまくる。
しかし重要なポイントは他のスタッフが疲れていようが
なんだろうが必ず押さえる。
そしてそのポイントは必ず必要な部分なのだ。
俺は川田さんのフォローに必死になった。
この人は突然とんでもないことを言い出す。
「二宮~。その辺の民家からチャリパクってきて~。なんか急にチャリ使った
演出がしたくなった」
え・・・。台本に無いじゃん!そんなの。
とは思わない。
ディレクターが必要だと思えば必要なのだ。
そして俺の仕事は「チャリの入手」になるのだ。
そんなある日俺は南さんに呼び出された。
まりあへの言い訳なしか?w
マジレスするとそれはない
「二宮ってディレクターやりたい?」
え・・・?
「今度川田ちゃんが別の仕事入っちゃってさぁ。
お前ディレクターやる?」
そ・・・そんな簡単なものなのか!?
「やらないなら別の人間探すけど」
返事なら決まってるだろがっ!
「やります!一生懸命やりますのでやらせて下さい」
こうして俺の初ディレクションは決まったのである。
なんともいい加減なものだ。
ロケは3日後。俺はこの仕事に全てを掛ける。
尺(O.A時間)が60秒のパブリシティである。
某ピアノ会社の展示場に赴き
そこの支配人がオススメする
数台のピアノをアピールするのもだ。
「川田さん。俺・・・俺とうとう・・・初ディレクターです!」
川田さんはあまり関心が無いのか
「そか。おめっとさん」と言うだけだ。
しかしこの興奮は止まらない。
「俺・・・川田さんのお陰で・・・初めて。初めて」
「いや・・・ムサ苦しいって・・・」
「ありがとうございます川田さん!」
「え・・・。俺なんもしないけど。ああ良かったな」
それから俺は今回の作品のあらましを川田さんに説明した。
「なんか注意点ありますか?」
「へ・・・?なんもないよ。そんなクソみたいな仕事・・・」
「お願いします。なんかお願いします」
川田さんはう~んと唸って一言
「カメラマンには60秒以上カメラ回してもらえ。んじゃなんとかなるわ」
俺は「ありがとうございます!ありがとうございます!」と言って電話を切った。
アホである。
さすがにこれは う ざ い
さすがにこれは う ざ い
ただ内心うれしい
俺は毎日23時まで台本を書いた。
何度も何度も書き直した。
ちなみに今の俺なら30分で書ける台本である。
当時はウブだったのだ。
そして技術クルーは会社でも怖いと評判の大宮さん。
そして音声は偶然にも渡辺だった。
渡辺はロケ車の中で「初ディレクター頑張ろうね!」と言ってくれた。
展示場に到着する。
支配人に挨拶だ。これも制作の仕事。
「ディレクターの二宮です」
少し恥ずかしい。
でも嘘は言っていない。
支配人がオススメのピアノを教えてくれた。
どれも年代物であろうか。
その重厚さはひしひしと伝わってきた。
大宮さんが無言で撮影に入る。
こうなると渡辺も必死だ。
少しでも助手の動きが遅いと怒鳴る。
それが大宮さんなのだ。
(末端のAD=アシスタントなんて名前だけでただの雑用)
新卒がディレクターとかやらせて貰えるもんなの?
簡単な撮影とはいっても。
お。業界人?
この仕事は今にしてはクソだったからねww
(でも大事な仕事だよ)
ある程度台本が書けて
カメラマンが30分も回してくれたら
だれでも繋げる(編集)できるよ
俺は自分の時間削って台本の練習したし
川田さんの撮影は全神経を集中して
演出を盗んだ。
ただの雑用係はDになれない。
これ俺の持論
大宮さんは年代物のピアノを相手に格闘している様に見える。
渡辺も必死だ。
大宮さんが次に何を求めてくるか?
それを頭の中で考え
大宮さんの一挙手一投足を見逃さないよう神経を集中している。
俺だって同じだ。
たとえカメラマンが怖い大宮さんだって
自分の演出をしたい!後悔だけはしたくない。
自分なりの言葉で欲しいカットを必死に大宮さんに伝える。
緊迫した状態で撮影が進む。
その時・・・。
入り口の方でで陽気な声が聞こえた。
振り向くと川田さんがいた!
「撮影のスタッフですー」と受付の人に説明している。
なんで?なんで川田さんがここに?
だってこの人は別の撮影があるじゃん。
だから俺にお鉢が廻ってきたんだろ?
川田さんが言った。
「俺の撮影が早く終わって暇だったから来ちゃった」
俺は泣きそうになった。
本当は不安で一杯だったんだ。
川田さんのようなベテランなら
クソみたいな仕事かもしれないけど
俺はすごく不安だったんだ。
「二宮に仕事盗られたなぁ。明日から生活苦しいべ」
照れ隠しをしているのだ。
川田さんはフリーだ。
正規の仕事でない以上はここまでの交通費だって自腹だ。
そして・・・
俺がこのままディレクターになってしまえば仕事を1つ失う。
それでも俺を心配して駆けつけてくれたのだ。
俺は必死になって頑張った。
川田さんに見てもらうために。
一度は廃人になった俺を蘇生させてくれた
川田さんに報いるために。
ツンデレきまぐれ上司萌え
その間に俺がまりあと渡辺を・・・
いちいち口出しをしないのも
いかにも川田さんらしい。
川田さんは以前に言っていた。
「撮影はな。ディレクターが主役なんだぜ。カメラマンじゃない
ディレクターが主役の舞台なんだよ」
技術系の人間が聞いたら「ちょっと待て」と言いそうな言葉であるが
川田さんは俺の舞台をただ見守ってくれた。
俺の舞台に土足で踏み込むマネはしなかったのである。
撮影終了。全てを出し切った。
カメラマンに臆することなく
欲しいカットは全て注文した。
やったぞ!俺はやったぞ!
俺はしばしこの感動を噛み締めていた。
川田さんが俺に近づいてきた。
「お祝いしなきゃな。キャバ行っとく?」
わかるwwwこういう人って大概キャバ好き
俺もそういう上司いたからわかるwwwww
んで俺いつか自分もやろうと思って去年キャバに2人部下連れてった
自分が一度連れて行ってもらったトコだったんだけどな、だけどな
ボ ラ レ タ wwwwwwwwwww
ほろ酔い気分で帰宅した。
マンションのゴミ置き場に人影が。
ドキッ・・・。まりあだ!。
「ども・・・こんばんわ。ゴミ捨て?そうだ明日ゴミの日だよね。
俺もゴミ出ししなきゃ」
意味不明な言葉しか出て来ない。
まりあはそんな俺に冷めた視線を向けて。
一言「そうだね。」
重いぞ。空気重いぞ・・・。
それもそのはずである。
例の紙切れの一件以来まりあとは会っていなかった。
なんとなく会い辛かったのだ。
仕事も忙しかったし・・・。
なにより
「なぜ新田なんですかっ!?」
の上手い返事が思いつかなかったのだ。
タイミング的に別々の方がおかしい。
無言・・・。
何か話さないといけない。
この重い空気にも耐えられないし
なにより仲直りしたい。
でも俺が謝るのもなんか変だ。
「そ・・・そうだ。今日俺さぁ。初めてディレクターしたんだ」
こんな話題しか思い浮かばない。
驚いた顔で俺を見るまりあ。
「たった60秒なんだけどさぁ。撮影で緊張しちゃってさ・・・」
まりあの反応が変わった。
「え。すごじゃん!ディレクターなんて!放送はいつなの??」
今でもこういった反応は苦手です。
ディレクターなんてただの映像オタクにしか過ぎません。
俺からすれば知らない人に物を売りつける
営業さんのほうが宇宙人です。
「え・・・と。一週間後の19時54分」
パブリシティとはこういう変な時間に放送されているのだ。
「すごい!すごい!」
自分のことのようにはしゃぐまりあ。
やっぱり可愛すぎるな。お前
素直な子やのう
今日は皆さん寝ましょうか。
また明日会いましょう~。
憧れの1人暮らしで隣人に恋した
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ②
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ③
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ④
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ⑤
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ⑥
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ⑦
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ⑧
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ⑨
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ⑩
憧れの1人暮らしで隣人に恋した ⑪
憧れの1人暮らしで隣人に恋した 完結
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